6/10/2025

ついに抗凝固療法も分子標的治療へ; Abelacimab versus Rivaroxaban in Patients with Atrial Fibrillation.

 抗がん剤、自己免疫性疾患、アレルギー疾患、脂質異常症、などなど

分子標的薬が続々と、臨床応用が始まっております。

ついに、抗凝固療法にも分子標的:完全ヒトモノクローナル抗体(不活性型の第 XI 因子に結合し,その活性化を阻害)が出ました。

Abelacimab versus Rivaroxaban in Patients with Atrial Fibrillation

N Engl J Med. 2025 Jan 23;392(4):361-371.

AZALEA-TIMI 71 ClinicalTrials

月一回の注射でOK。すごいなぁ。今後もどんどん便利な薬が出るでしょうね。

「どんなに技術が進んでもこれだけは変わらねえ。 機械を作るヤツ、整備するヤツ、使うヤツ、人間の側が間違いを起こさなけりゃ機械も決して悪さはしねえもんだ」

(じつはわたくしも抗凝固新薬の治験のメンバーで登録していたことがあります。)

以下NEJMの日本語サイトからの引用です。


背景

アベラシマブ(abelacimab)は,不活性型の第 XI 因子に結合し,その活性化を阻害する完全ヒトモノクローナル抗体である.心房細動患者における,直接経口抗凝固薬と比較したアベラシマブの安全性は明らかにされていない.


方 法

心房細動を有し,脳卒中リスクが中~高の患者を,盲検下でアベラシマブ(150 mg 月 1 回または 90 mg 月 1 回)を皮下投与する群と,非盲検下でリバーロキサバン(20 mg 1 日 1 回)を経口投与する群に,1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,大出血または臨床的に重要な非大出血の複合とした.


結 果

1,287 例が無作為化され,年齢中央値は 74 歳で,44%が女性であった.3 ヵ月の時点で,遊離型第 XI 因子濃度の低下率の中央値は,アベラシマブ 150 mg で 99%(四分位範囲 98~99),90 mg で 97%(四分位範囲 51~99)であった.アベラシマブによる出血イベントの減少が予測を上回ったため,独立データ安全性モニタリング委員会の勧告に基づき,試験は早期に中止された.大出血または臨床的に重要な非大出血の発生率は,アベラシマブ 150 mg で 3.2 件/100 人年,90 mg で 2.6 件/100 人年であったのに対し,リバーロキサバンでは 8.4 件/100 人年であった(リバーロキサバンに対するアベラシマブ 150 mg のハザード比 0.38 [95%信頼区間 {CI} 0.24~0.60],リバーロキサバンに対するアベラシマブ 90 mg のハザード比 0.31 [95% CI 0.19~0.51],両比較について P<0.001).有害事象の発現率と重症度は,3 群で同程度と思われた.


結 論

脳卒中リスクが中~高の心房細動患者のうち,アベラシマブを投与した患者では遊離型第 XI 因子濃度が著しく低下し,リバーロキサバンを投与した患者よりも出血イベントが少なくなった.(アンソス セラピューティクス社から研究助成を受けた.AZALEA–TIMI 71 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04755283)


追加情報

現在、利用可能な抗凝固療法を使用できない高リスク心房細動患者を対象に、脳梗塞および全身性塞栓症の予防におけるabelacimabの有効性をプラセボと比較する第III相試験(LILAC-TIMI 76試験)が進行中



4/07/2025

EPA製剤の大規模試験 : RESPECT-EPA試験がでました

2007年 JELIS試験:スタチンにEPA-1800mg 心血管イベントの有意な抑制を

2018年 REDUCE-IT試験 EPA-4000mg JELISを支持するもの

2020年 STRENGTH試験 ω3-4000mg 効果なし否定的な結果

2024年 RESPECT-EPA試験 EPA-1800mg REDUCE-IT試験を日本人で指示できる

____________________________________

 RESPECT-EPA: Circulation. 2024 Aug 6;150(6):425-434.

「スタチン治療を受けている慢性冠動脈疾患でEPA/AA比の低い患者において、イコサペント酸エチルが将来のイベントを軽減するという臨床的意義を有する可能性が示唆される」


🔷 RESPECT-EPA試験とは?

✅ 正式名称:

Randomized Trial for Evaluating the Secondary Prevention Efficacy of Icosapent Ethyl on Japanese Patients with Established Cardiovascular Disease (RESPECT-EPA)


🔹試験の目的:心血管疾患(二次予防)の既往がある患者において、EPA製剤の心血管イベント抑制効果を検証する。

🔹試験デザイン:対象者:心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性心血管疾患の既往があり、スタチン治療中の患者。

ランダム化・オープンラベル試験(event-driven design)

被験者数:2,506名(日本全国の複数施設)

追跡期間:中央値で約5年

比較:

EPA群:イコサペント酸エチル(1800 mg/日、分2)

対照群:標準治療のみ(EPAなし)

🔹主要評価項目(Primary Endpoint):心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、冠動脈血行再建、入院を要する不安定狭心症の複合エンドポイント。

🔹結果(2022年発表):EPA群は対照群に比べて主要心血管イベントの発生率を26%低下(HR 0.74、p=0.055)※有意差までは届かず

サブグループ解析では、LDLコレステロールが高めの群や中性脂肪が高めの群で効果がより顕著。

🔹考察・意義:**REDUCE-IT試験(米国)**で得られたEPAの有効性に対する、日本人を対象とした追試的意味合い。**EPAの用量がREDUCE-ITと同等(1800 mg)**で、スタチンとの併用効果を検証。最終的に統計的有意性には達しなかったものの、有望な傾向が見られ、安全性も良好であった。

🔹まとめ(ポイント)

項目 内容

対象 心血管疾患既往の日本人

治療 EPA 1800 mg/日 vs 標準治療

主な結果 イベント26%減(有意差に届かず)

特徴 スタチン治療中の患者が対象

意義 日本人におけるEPAの心血管予防効果を評価



4/02/2025

VTEでDOACの容量は少なくしても大丈夫?「RENOVE試験」 Lancet . 2025 Mar 1;405(10480):725-735.

VTEのDOCAの治療容量は心房細動の血栓予防の容量の半分程度であり、心情的には出血リスクが高く、投与量は減らしたくなります。

減量のエビデンスがこれまではありませんでしたので、大規模試験結果が待たれてました。

先に結論です。

「VTEでの減量DOACは非劣性は示されず→効果は不十分」

「ただ症例(出血リスクが高い)を選んで減量使うと良いかもね」

フランスからの報告です。Chat GPTで日本語要約にしてもらいました。それを更に自分なりにまとめました。

Extended treatment of venous thromboembolism with reduced-dose versus full-dose direct oral anticoagulants in patients at high risk of recurrence: a non-inferiority, multicentre, randomised, open-label, blinded endpoint trial

RENOVE試験

フランスの47病院,

非劣性、多施設共同、無作為化、オープンラベル、盲検エンドポイント試験

症候性VTE(肺塞栓症または近位深部静脈血栓症

6~24カ月間、標準用量の抗凝固療法(アピキサバンとリバーロキサバン)

標準用量群 vs. 低用量群に1:1の割合で無作為に割り付け

イグザレルト:20mg/day と 10mg/day (ここが日本と違う、日本は15mgが標準)

エリキュース:5.0mgx2/day と 2.5mgx2/day (日本と同じ)

主要評価項目は、症候性VTE再発(非劣性仮説の検定力90%、ハザード比1.7の排除)

標準用量群(n=1,385)と低用量群(n=1,383)に無作為に割り付け

中央値37.1カ月の追跡期間

VTE再発は低用量群で19例(5年累積発生率2.2%)、標準用量群で15例(1.8%)

低用量群の非劣性は証明されなかった(調整ハザード比1.32, p=0.23)

出血の発生率は低用量群(9.9%)で標準用量群(15.2%)より有意に低かった(調整ハザード比0.61)。

死亡率は低用量群4.3%、標準用量群6.1%であった。

結論:VTEの長期抗凝固療法において、DOACの低用量投与は非劣性を証明できなかった。


ってこと。








3/28/2025

Vissel KOBE 観戦記 2024/2025 途中

2025年2月11日 ACLE H 上海海港 4-0

2025年2月15日 J1 H 浦和 0-0

2025年2月26日 J1 H 京都 1-1

2025年3月1日 J1 H 福岡 0-1

2025年3月5日 ACLE H 光州 2-0

2025年4月6日 J1 H国立 新潟

2025年4月16日 J1 H 川崎

2025年4月20日 J1 H 町田

2025年5月3日 J1 H 岡山

2025年5月6日 J1 H C大阪

2025年5月17日 J1 H G大阪

2025年6月15日 J1 H 名古屋

2025年7月2日 J1 H 広島

2025年7月5日 J1 H 湘南

2025年7月20日 J1 A 岡山

2025年8月16日 J1 H 横浜FC

2025年8月20日 J1 A 広島

2025年8月30日 J1 H 横浜FM






12/16/2024

肺炎球菌ワクチン接種について 2024年12月最新版

  肺炎球菌ワクチンには主に以下3種類

「ニューモバックスNP®(23価ワクチン)」

「バクニュバンス(沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン)」

「プレベナー20®(20価結合型ワクチン)」

スケジュールは各学会合同で以下のプロトコルが推奨

(2024年9月の段階で改訂されいていた様子・・・)


自分が65歳になったら、

① ニューモバックスの定期接種

② 上記接種1年開けて、プレベナー20

③ ①の5年後にニューモバックス


を接種しようかな、と思うが、

MSDが他の別株をカバーする肺炎球菌ワクチンを開発中とのこと。

今後も新しいワクチンが出たらアップデートします。


12/07/2024

Vissel KOBE 2024 観戦記録 (最終版)

3月2日 土曜 H 柏戦 0-1 ゴール裏

3月16日 土曜 H 広島戦 0-0 ゴール裏

4月7日 日曜 H 横浜FM戦 1-2 ゴール裏

4月13日 土曜 A(国立) 町田戦 2-1 ゴール裏(自由席)

4月27日 土曜 H 京都戦 0-1 ゴール裏(後半は教授退任祝賀会で退席)

5月6日 月曜 H 新潟戦 3-2 The Pich (DAZN初出演)

5月26日 日曜 H 東京V戦 0-1 ゴール裏

6月16日 日曜 H(国立) 川崎戦 1-0 ゴール裏

6月26日 水曜 H 町田戦 0-0 ゴール裏(豊岡から150km爆走して参戦)

6月30日 日曜 H 鹿島戦 3-1 ゴール裏(Vissel Talk 浦選手)

7月20日 土曜 H 名古屋戦 3-3 ゴール裏(試合前ピッチ見学)(後半ATに被同点打)

(7月27日 スタジアムツアー参加)

8月17日 土曜 H G大阪戦 2-2 ゴール裏(後半ATに被同点打)

8月25日 日曜 H 鳥栖戦 2-0 ゴール裏

9月25日 水曜 天皇杯準々決勝 ノエスタ 鹿島戦 3-0 ゴール裏(自由席)

9月28日 土曜 H 浦和戦 1-0 ゴール裏 (妻がフラッグベアラー参加)

10月6日 日曜 A 京都戦 3-2 サンガS メインゴール寄り

10月27日 日曜 天皇杯準決勝 ノエスタ 京都戦 2-1 ゴール裏

11月1日 金曜 H 磐田戦 2-0 ノエスタ

11月23日 土曜 天皇杯決勝 国立 G大阪戦 1-0 ゴール裏

12月8日 日曜 H 湘南戦 3-0 ゴール裏 

12月14日 土曜 槙野引退試合 メイン左寄り

20戦参戦、12勝4負4分

天皇杯優勝もJ1リーグ優勝も現地で感染できました。最高なシーズンでした。
ヴィッセル神戸の皆様、ありがとうございました。









10/01/2024

肺炎球菌ワクチン接種について

 肺炎球菌ワクチンには主に以下3種類

「ニューモバックスNP®23価ワクチン)」

「バクニュバンス(沈降15価肺炎球菌結合型ワクチン)」

「プレベナー13®」→ 今後「プレベナー20®20価結合型ワクチン)」へ変更

スケジュールは各学会合同で以下のプロトコルが推奨


自分が65歳になったら、

① ニューモバックスの定期接種

② 上記接種1年開けて、バクニュバンス

③ ①の5年後にニューモバックス

を接種しようかな、と思うが、今後も新しいワクチンが出たらアップデートしよう