4/07/2025

EPA製剤の大規模試験 : RESPECT-EPA試験がでました

2007年 JELIS試験:スタチンにEPA-1800mg 心血管イベントの有意な抑制を

2018年 REDUCE-IT試験 EPA-4000mg JELISを支持するもの

2020年 STRENGTH試験 ω3-4000mg 効果なし否定的な結果

2024年 RESPECT-EPA試験 EPA-1800mg REDUCE-IT試験を日本人で指示できる

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 RESPECT-EPA: Circulation. 2024 Aug 6;150(6):425-434.

「スタチン治療を受けている慢性冠動脈疾患でEPA/AA比の低い患者において、イコサペント酸エチルが将来のイベントを軽減するという臨床的意義を有する可能性が示唆される」


🔷 RESPECT-EPA試験とは?

✅ 正式名称:

Randomized Trial for Evaluating the Secondary Prevention Efficacy of Icosapent Ethyl on Japanese Patients with Established Cardiovascular Disease (RESPECT-EPA)


🔹試験の目的:心血管疾患(二次予防)の既往がある患者において、EPA製剤の心血管イベント抑制効果を検証する。

🔹試験デザイン:対象者:心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性心血管疾患の既往があり、スタチン治療中の患者。

ランダム化・オープンラベル試験(event-driven design)

被験者数:2,506名(日本全国の複数施設)

追跡期間:中央値で約5年

比較:

EPA群:イコサペント酸エチル(1800 mg/日、分2)

対照群:標準治療のみ(EPAなし)

🔹主要評価項目(Primary Endpoint):心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、冠動脈血行再建、入院を要する不安定狭心症の複合エンドポイント。

🔹結果(2022年発表):EPA群は対照群に比べて主要心血管イベントの発生率を26%低下(HR 0.74、p=0.055)※有意差までは届かず

サブグループ解析では、LDLコレステロールが高めの群や中性脂肪が高めの群で効果がより顕著。

🔹考察・意義:**REDUCE-IT試験(米国)**で得られたEPAの有効性に対する、日本人を対象とした追試的意味合い。**EPAの用量がREDUCE-ITと同等(1800 mg)**で、スタチンとの併用効果を検証。最終的に統計的有意性には達しなかったものの、有望な傾向が見られ、安全性も良好であった。

🔹まとめ(ポイント)

項目 内容

対象 心血管疾患既往の日本人

治療 EPA 1800 mg/日 vs 標準治療

主な結果 イベント26%減(有意差に届かず)

特徴 スタチン治療中の患者が対象

意義 日本人におけるEPAの心血管予防効果を評価



4/02/2025

VTEでDOACの容量は少なくしても大丈夫?「RENOVE試験」 Lancet . 2025 Mar 1;405(10480):725-735.

VTEのDOCAの治療容量は心房細動の血栓予防の容量の半分程度であり、心情的には出血リスクが高く、投与量は減らしたくなります。

減量のエビデンスがこれまではありませんでしたので、大規模試験結果が待たれてました。

先に結論です。

「VTEでの減量DOACは非劣性は示されず→効果は不十分」

「ただ症例(出血リスクが高い)を選んで減量使うと良いかもね」

フランスからの報告です。Chat GPTで日本語要約にしてもらいました。それを更に自分なりにまとめました。

Extended treatment of venous thromboembolism with reduced-dose versus full-dose direct oral anticoagulants in patients at high risk of recurrence: a non-inferiority, multicentre, randomised, open-label, blinded endpoint trial

RENOVE試験

フランスの47病院,

非劣性、多施設共同、無作為化、オープンラベル、盲検エンドポイント試験

症候性VTE(肺塞栓症または近位深部静脈血栓症

6~24カ月間、標準用量の抗凝固療法(アピキサバンとリバーロキサバン)

標準用量群 vs. 低用量群に1:1の割合で無作為に割り付け

イグザレルト:20mg/day と 10mg/day (ここが日本と違う、日本は15mgが標準)

エリキュース:5.0mgx2/day と 2.5mgx2/day (日本と同じ)

主要評価項目は、症候性VTE再発(非劣性仮説の検定力90%、ハザード比1.7の排除)

標準用量群(n=1,385)と低用量群(n=1,383)に無作為に割り付け

中央値37.1カ月の追跡期間

VTE再発は低用量群で19例(5年累積発生率2.2%)、標準用量群で15例(1.8%)

低用量群の非劣性は証明されなかった(調整ハザード比1.32, p=0.23)

出血の発生率は低用量群(9.9%)で標準用量群(15.2%)より有意に低かった(調整ハザード比0.61)。

死亡率は低用量群4.3%、標準用量群6.1%であった。

結論:VTEの長期抗凝固療法において、DOACの低用量投与は非劣性を証明できなかった。


ってこと。