今年の2016年5月にACC/AHA/HFSAから報告されていたようです。
http://content.onlinejacc.org/article.aspx?articleID=2524644
http://circ.ahajournals.org/content/early/2016/05/18/CIR.0000000000000435.long
日本の医療系ネット配信で知りました。
簡単に言いますと、心不全の降圧系治療薬としては
以前よりACEとARBがあり、今回新たにARNIというお薬がお目見えしました。
ARNI(発音は「あるにー」っぽいです。)は、Angiotensin Receptor/Neprilysin Inhibitorの略です。
Stage CのHFrEFに対する治療薬は、ACE or ARBに加えて、ARNIを使うのも「or」という選択肢でなんと「Class I」のRecomendation。つまり強く推薦するってこと。
ただ、エビデンスレベルは前2者は「A」に対して、ARNIは「B-R」。
「A」は非常に質の高い強い根拠がある。
「B」は「B-R」「B-NR」と分類。つまり、ARNIはACEとARBの次に根拠のある推薦する薬ってこと。
ACEでもARBでもアカンかったらARNIがOKって解釈でいいでしょう。
じゃあ、具体的な薬ってなに?コードネームは「LCZ696」(名探偵コナンが小さくなったヤツみたい)。
簡単に言うと、RAS系阻害薬で、Angiotensin Receptor/Neprilysinを阻害する薬、つまりARB(valsartan)+Neprilysin Inhibitor(sacubitril)ですね。合剤やんけ。
PARADIGM-HF試験では、とあるACEと比較して、全死亡、心臓死、入院リスクをすべて16~20%程、低くするという。
最近再入院を低減させるデータも出たようです。
http://content.onlinejacc.org/article.aspx?articleID=2532918
おお、すげーやん。こんなスゲー薬、なぜ日本に無いの?
製薬会社がなんとノバルティス…ちょうど2年ほど前に日本でノバルティスの事件が話題になっておりました。そういえば…2013年年末にノバルティスの方から、「ネプリライシン阻害薬というスンバらしい薬がある。2014年には上市する。」と教えてもらいましたが、日本ではその後ARNIはニュースにもならず忘却の彼方に…なにがあったんだノバルティスさん。
はい、なにかあったのでしょう。
RAS系(the renin–angiotensin–aldosterone system)のお薬は、「ラジレス」「セララ」などなどありましたが、ガイドラインの上位にはなかなか入ってきませんでした。今回のARNIは日本のガイドラインにも来るでしょうね。
ちなみにヨーロッパガイドラインもESCのHFAからも5月に発表がありました。
http://eurheartj.oxfordjournals.org/content/37/27/2129.long
まあ、似たような感じで「ARNIはACE-Iが効かなければ使っていいよ」的な位置づけです。
めちゃええやん。
このLCZ696はネプリライシン阻害薬とディオバンの合剤なんだな…
しかし、ここまでガイドラインに食い込むほどの結果とは…
うーん、ディオバン…ディオバン…ノバルティスとディオバン…
ネプリライシン阻害薬だけ出してくんないかな?
単純にsacubitrilだけだとここまでのエビデンスは出ないじゃろね。
僕としては、当て馬にされたレニベースは血圧下げにくくて心不全に使えるから重宝していたのですが…
だって心不全って血圧下がるやん、ニューロタンやブロプレスも結構つこうたなぁ。
それにしても、カタカナ横文字は気持ち悪いです。
最近は分子標的薬はマブマブ…
心不全もHFrEFのほかにHFmrEF, HFpEFと、「へ(屁)」が沢山で発音気持ち悪い。
ノバルティスのT田さん、元気にされているかな?
追記、もう一つ日本に無い薬「Ivabradine」ってのもあります。こちらは未だ勉強してません。また後日に…
このシリーズ大好きです。日本のAmazonで買って、3日後に手に入りました。 |
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